
AUTUMN / WINTER 25
18歳か19歳くらいの学生時代、膨大な参考資料を眺めているとジャケットを着たラルフ・ローレンがファッション誌の紙面を飾る姿に目が留まりました。見たこともないデザインのジャケットを着ていて、それが僕が初めてテバジャケットなるプロダクトを認識した瞬間だったと記憶しています。そのジャケットのデザインを着想源に、アメリカンとヨーロピアンな要素を取り入れて作ったのがN.YORKEです。
90年代のアメリカではツイードが流行していて、変な柄や特徴的なデザインのツイードジャケットは先述のラルフローレン然り、あらゆるブランドから発表されていました。そんな時代のムードを想起させるようなツイードジャケットですが、今の気分にしっくりくるなと個人的に感じています。


イギリスのハンティングジャケットをベースに、スペインで人気を博したテバジャケットの特徴は台襟を用いた襟。このジャケットの核となるディテールは踏襲しながらも、シルエットや素材などをいかにブランドらしく現代のそれとして成立させるかがデザインの肝でした。表地はコットンとリネンの杢⽷、それにメリノ混シェットランド⽷を用いてNを模ったビスポークのツイードをあてがいました。ドビー織機でつくった少し古びた雰囲気の生地。イギリスのカントリージェントルマンが好みそうな仕上がりです。
裏地には2種類の素材を使用しました。可動の多い部分には滑りがいい光沢感のある素材を、それ以外は暖かさを感じられる起毛素材を用いています。これはフランスの老舗ブランドがよく用いているディテールです。レトロポップな雰囲気の多色ストライプはデッドストックから探し当てたもの。このジャケットの袖裏はストライプの裏地が使われることが多く、今シーズンのテーマとも相性が良い。このクラシックな雰囲気のアイテムのアクセントとしていい仕事をしてくれたように思います。
イギリスを源流とし、スペインの上流階級で愛されたデザインがアメリカで再解釈される。そんなストーリーを想像しながらデザインしていったのがNICENESS流のテバジャケットです。


NICENESSのものづくりのはじまりは、断片的なアイデアを箇条書きにしたメモと向き合うところからスタートします。先々のシーズンに向けて思いついたこと、考えていることをあえて箇条書きのまま留めておくことで、いざそのメモを見返してデザインをする工程に入った時に新たな発見があります。
瞬間のひらめきと、それを見返した時の思考。その自問自答を繰り返すことが新しいアイデアへとつながる重要なデザインにおけるプロセスなのです。このジャケットN.YORKEとセットアップのトラウザーN.SELWAYも妄想を膨らませたいつの日かにかき殴られた1枚のメモ紙から出来上がりました。






















































